662人が本棚に入れています
本棚に追加
正直…
今向き合わなければならない彼女とのこと
過去向き合わなければならなかったその子とのこと
同時に来てしまったため、どうしたらいいのかわからないというのが本音だ
二つの悩みからテスト勉強に逃げていた部分もある
勉強に逃げて気づいたことがあった
こうやって勉強に逃げている間も、小さな心の距離はありながらも、誰よりもそばにいてくれたのは千代だった
自分の過去に蹴りを付けてから、この前の喧嘩の件について自分の過去を踏まえてしっかりと伝えようと、そう思った
ちらりと前の席を見ると、偶然千代と目が合っていた
どうやらしばらく見られていたみたいだ
「京太、どうだった?テスト!」
「…うん、今回は数学も大幅に点数を上げたよ」
「わぉ、よかった!!これで夏休みは補習なしで一緒にいられるね!!」
「…うん」
こうやって普段通りに振舞ってくれる…喧嘩をなかったことにしてくれる千代の態度が助けになった
悩み解決まで逃げているだけだけれど、それでもその千代の行動が助けになった
向き合おうと思えた
覚悟を決めたのなら早い方がいい…今日は初城さんと話をしよう
「千代…」
「うん?」
「今日は、一緒に帰れない」
「…え?」
「初城さんと話すことがあるんだ」
「……そ、そっか!な、何の話をするの?」
「それは…まだ言えない…大切かもしれない話なんだ」
「……ど…して」
小さく彼女がつぶやいた
「え…千代、なんて?」
「どうして!!」
千代が突然大きな声で俺に怒鳴った
「…え?」
あまりに唐突なことで全く思考が追い付かない
千代って大きな声出すんだとか、そんな場違いな感想が浮かんでしまうほど、俺の心は乱れた
気付けば先生はいなくなっていたが、周りの視線は一気に集めてしまっていた
庭園さんの席で話していた凪が二人して目を真ん丸にしてこちらを見ている
自分でも何が起きたかわからなかった
最初のコメントを投稿しよう!