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………………………
カランと音を立ててミルクティーの氷が沈む
冷房が効いた店内ではあったが、その薄い熱を帯びた空気は初夏の雰囲気を感じさせていた
私は一部始終を話した
試験勉強で彼の家に行った時に感じたこと
我慢しようと思ったこと
そばにいれば、彼を知ればきっと何でも話し合えるような仲になること
今日自分勝手に彼に怒りをぶつけてしまったこと
それからろくに話も聞かずに飛び出してきてしまったこと
とどいたパンケーキはすでになく、話しながらいつ食べたのか記憶がなかった
それほどこれを美春さんに話すのに緊張し、恐怖していた
知られてしまった…自分の身勝手で醜い彼女としての振る舞いを…
美春さんの嫌いな…京太を傷つける可能性のある人間の一人であることを…吐露してしまった
「「…………」」
二人ともさっきまでの談笑していた空気は一切なく真剣に私の話を聞き終え、そして押し黙った
あぁ…二人に怒られる…そう思った矢先…
「それは京太が悪い」
「それは弟ちゃんが悪い」
二人は同時にそう言った
「……えっ?」
思わずそんな拍子抜けした声が出てしまった
「いやぁ…美春…これは弟ちゃんが悪いわぁ…」
「そうねぇ…京太に女心が分かるわけないと常日頃から思っていたけどまさかここまでわからないとは…」
予想していた反応とはかけ離れていた
「え…いや!でも私が勝手に思ってただけで、それが分からないから八つ当たりみたいに京太に怒鳴っちゃって…それで…」
「うん、そこは千代ちゃんが悪い。確かに思ったことを言わなかった千代ちゃんは悪いわ。それじゃあ察してくれって言ってくるめんどくさい女の子みたいだもの。でも千代ちゃんは何でも話せるようになりたいと思ったから、京太の本音が聞きたかったからずっとそばにいたわけでしょ?」
「うっ…」
「京太が何に悩んでいたのか知らないけれど、彼女の小さい怒りを後回しにしたり、一緒にいたのにそれをなかったことのように振舞ってたりするのは対人関係スキル関係なく男として、彼氏として駄目ね」
「だねぇ…」
「彼女である千代ちゃんの口からこれから二人で歩んでいくために、今京太が持っている私に対する悩みを一緒に共有したいなんて言わせるなんてそれはナイ。それくらい察しろ、我が弟よって感じ」
私の彼氏はお姉さんからひどく酷評されていた
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