第3章 急接近

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翌日。 お昼休みのチャイムと共に桜のところに行き、 いつものように向かい合ってお弁当を広げる。 「・・・で?昨日は雨宮さんに褒めてもらえたの?」 待ちきれないとばかりに桜が口を開く。 私はなるべく冷静を装って答える。 「あぁ・・・うん。 ・・・あと、雨宮さんとケーキ食べにいくことになった」 「・・・え!??」 よほど驚いたのか、一瞬固まった後、桜が私をマジマジと見つめる。 「マジで!?なんで?いつ?」 「昨日、予備校で時計拾ったじゃない?」 「うん。・・え、まさかあれが・・・」 「そうそう。なんと雨宮さんのやつでさー。 拾ってくれた御礼にって、土曜日ケーキ食べに行こうって誘われた。」 にやけそうになるのを押さえて、俯きがちに報告する。 「マジで?すごいじゃん。菜緒子、やったね!」 「う、うん。すごいよね、時計拾っただけで。」 「実は雨宮さんも菜緒子とデートしたかったりして。」 「えっ!?でっ・・・いやっ・・・べ、つにっで、デートっとかっ」 「噛みすぎだから。それに顔真っ赤。」 デートかな、なんて少し思ってはいたけれど、はっきりと桜から言われると動揺する。 それに、雨宮さんがデートしたいなんて・・・。 彼女さんがいるかもしれないのに。 期待しちゃ、ダメだ。
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