第3章 急接近

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雨宮さんの言う通り、ケーキは絶品だった。 甘過ぎないクリームに、甘酸っぱいイチゴがよく合った。 「菜緒子ちゃんは,本当に美味しそうに食べるね」 満足そうに食べる私を見て、雨宮さんが微笑みかける。 「だって、本当に美味しいんですもん」 「そうやって嬉しそうに食べてくれたら、いっぱい美味しいところに連れて行ってあげたくなっちゃう」 「ほんとですか?じゃあまた連れて行って下さい」 いつの間にか呼び方が「高瀬さん」から、「菜緒子ちゃん」に変わっている。 そのことに気付いたら、社交辞令だと分かっていても、2回目もあるんじゃないか、なんて期待しそうになってしまう。 その後も、雨宮さんとの会話は盛り上がった。 まだまだ話したい。 この時間がいつまでも続けば良いのに・・・ そんな気持ちにストップをかけたのは、1本の電話だった。 「菜緒子!あんたこんな時間まで何やってんの!!  まったく、連絡もしないで。どこいるの?すぐ帰ってきなさい!!」 電話の主は母だった。 時計を見るともう夕飯の時間。 何も言わずに来てしまったので、激怒するのも仕方ない。 とりあえず母に謝り倒すと、雨宮さんのところに戻った。 「雨宮さん、ごめんなさい。そろそろ帰らないと」 「いや、こちらこそ遅くまで付き合わせてごめん。 今のおうちから?大丈夫?」 「はい。あの、大丈夫です」 私がうっかりしていたばかりに、雨宮さんに余計な気を遣わせてしまった。
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