第3章 急接近

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帰り道、遅くなったからと雨宮さんは駅まで送ってくれた。 「それじゃあ、ここで。今日はごちそうさまでした」 「いや。こちらこそ、遅くまでごめんね。お母様、大丈夫?」 「はい。私も家に連絡するの忘れちゃったので。いやでなければ、また美味しいところ連れて行って下さい。」 社交辞令ではなく、本心だった。 また、雨宮さんと話したい。 「うん。あの・・・じゃあ、これ、連絡先。良かったら、メール頂戴。 予備校じゃ、美味しいもの食べに行く相談なんてしにくいから。」 「あ、そ、そうですね。じゃあ、いただきます。」 少し不格好な字が並ぶ、雨宮さんの手書きのメモを受け取る。 「数学も、分からなかったら遠慮なく聞いてくれていいし。」 「はい。ありがとうございます」 「・・・・」 「・・・・」 「じゃあ、もう遅いから早く帰りな。おやすみなさい」 「はい。今日はありがとうございました。最後、すみません。おやすみなさい」 まさか雨宮さんの方からメアドを教えてくれるなんて。 これは・・・次を期待して良いってことなのかな。 誰にでもやってる・・・わけじゃないよね?
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