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「なーおこっ!お弁当たーべよっ!」
月曜日の昼休み。
桜がウキウキしながら私のところにやってきた。
その声に、ハッと現実に引き戻される。
土曜の夜にメールをした後、雨宮さんから返事が来ることはなかった。
やっぱりケーキはお礼で、アドレスを教えたのは気まぐれだったのかもしれない。
少しだけ期待した自分が馬鹿みたい。
雨宮さんが自分みたいな子どもを相手にしてくれるわけないのに・・・。
梅雨の陰鬱な空を見上げながら、私はぼーっとそんなことを考えていたのだ。
重い気持ちの私とは反対に、目の前の桜は土曜日のことを聞きたくてうずうずしている。
どうせこの先は無いだろうと思い、私は淡々と話した・・・つもりだった。
「ふーん。もう、好きになっちゃってるんじゃん」
「・・・!ちょっと、何言ってんの!」
「だって、なんだかんだでメール待ってるんでしょ?」
「それは・・・年上の人にかまってもらって嬉しかったし。だから・・・」
「はいはい。・・・明らかに好きそうなのに」
「違うって!」
桜は、しどろもどろになった私を楽しそうにからかう。
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