第3章 急接近

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なぜだか分からないけれど、その時は恋に落ちたなんて、思いたくなかった。 たしかに出かける前はウキウキした。 ケーキを食べていた時も楽しかった。 だけど、それだけで恋と言ってしまうのは、なんだか抵抗があった。 そんなことを考えながら、桜と言い合っていると、 不意に携帯が鳴った。 びくりとしながら携帯を開く。 『送信者:雨宮走 返信遅くなってごめんね! 土曜日はお疲れさま。 帰り、大丈夫だったかな? またランチでもケーキでも行きましょう。 早速だけど、予備校の近くに1軒気になるカフェがあるんだ。 ロコモコが美味しいらしいんだけど、来週末辺り、ランチでもどうかな?   Amemiya, H』 うっそ。返事、来た。 しかも、2回目のお誘いまである。 「雨宮さん?菜緒子、顔真っ赤だし、緩んでる。もう大好きじゃん」 「ち、ちがっ、赤くないし緩んでない!大好きでもない!!」 慌てて否定している時点で肯定しているようなものだろう。 顔だって、言われなくても真っ赤なのは自覚している。 「雨宮さん、なんだって?」 桜の問いかけに、私は無言で雨宮さんからのメールを見せた。
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