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なぜだか分からないけれど、その時は恋に落ちたなんて、思いたくなかった。
たしかに出かける前はウキウキした。
ケーキを食べていた時も楽しかった。
だけど、それだけで恋と言ってしまうのは、なんだか抵抗があった。
そんなことを考えながら、桜と言い合っていると、
不意に携帯が鳴った。
びくりとしながら携帯を開く。
『送信者:雨宮走
返信遅くなってごめんね!
土曜日はお疲れさま。
帰り、大丈夫だったかな?
またランチでもケーキでも行きましょう。
早速だけど、予備校の近くに1軒気になるカフェがあるんだ。
ロコモコが美味しいらしいんだけど、来週末辺り、ランチでもどうかな?
Amemiya, H』
うっそ。返事、来た。
しかも、2回目のお誘いまである。
「雨宮さん?菜緒子、顔真っ赤だし、緩んでる。もう大好きじゃん」
「ち、ちがっ、赤くないし緩んでない!大好きでもない!!」
慌てて否定している時点で肯定しているようなものだろう。
顔だって、言われなくても真っ赤なのは自覚している。
「雨宮さん、なんだって?」
桜の問いかけに、私は無言で雨宮さんからのメールを見せた。
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