第4章 はじまり

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そして約束の日。 待ち合わせ場所の改札を目指すと、 既に雨宮さんが立っていた。 鮮やかなブルーのTシャツに、生成りのパーカー。 ジーンズに黒のレインブーツ。 至ってシンプルな格好なのに、 雨宮さんが着ているとなぜかすごくお洒落。 小走りに近づいて、声をかける。 「お待たせしました」 「いや、今来たところだから大丈夫だよ」 そういって柔らかく微笑む雨宮さんに胸が高鳴る。 「・・・雨、降っちゃったね。地下道から行こうか」 雨宮さんに促され、私たちは地下へと潜った。 今回のハワイアンカフェは、繁華街の大通りに面していた。 雨の日に駅直結という立地が効いたのか、女性客とカップルで混雑している。 ガラス張りの窓は開放的で、店内にはヤシの葉や鮮やかな花など、ハワイっぽい装飾がなされていた。 店員さんも、アロハシャツを着たりレイをつけている。 もし、晴れていたら日が入って明るく、ハワイアンなムードたっぷりだっただろう。
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