第4章 はじまり

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席について注文を済ませると、雨宮さんが口を開く。 「そういえば、誘っておいてなんだけど、そろそろ期末テストじゃない?」 「う・・・あと10日ぐらいですね。」 「数学、大丈夫?何なら今日、特別にみてあげるよ?」 「今日はランチに来たから大丈夫です」 まだまだ数学が得意とは言えない私にとっては、嬉しい提案だ。 しかも「特別」と言われて気持ちが揺れないわけが無い。 だけど・・・今日はせっかくのランチを楽しみたい。 それなのに、雨宮さんは追撃してくる。 「本当に?」 「・・・はい」 「無理しなくていいよ?」 「・・・・・わからない時は、雨宮さんのお仕事中に聞きます」 「菜緒子ちゃん、やっぱり真面目だね」 私の言葉に吹き出すと、何がツボなのか、雨宮さんは豪快に笑った。 だけど、そんな笑顔にもキュンとしてしまう。 そういえば・・・雨宮さんも今、教員試験前じゃなかったっけ。 私とメールしたりご飯なんか食べてて良いのだろうか。 そう思って聞いてみると、しっかり勉強しているから問題ないのだそうだ。 デキる人はやっぱり違う。
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