第4章 はじまり

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「じゃあ、そろそろ行こっか。夕飯、家なんでしょ?」 伝票を取り上げ、雨宮さんが立ち上がる。 「はい。お気遣い、ありがとうございます」 私も慌てて立ち上がる。 前回に続き、また雨宮さんに奢ってもらうのは申し訳ない。 私が荷物をまとめている間に 雨宮さんはさっさとレジへと向かう。 今日も雨宮さんは、私に払わせてくれないようだ。 会計が済み、また地下道を通って駅へと向かう。 「ごちそうさまでした」 「いいよ。また最寄り駅まで送って行くね」 「・・・ありがとうございます」 どうしてこうも楽しい時間はあっという間なのだろう。 寂しい思いと、次の約束はあるのかという不安が混ざる。 ちらりと隣の雨宮さんを見ると、電車の吊り広告を読んでいるような、 それでいて心ここにあらずといった雰囲気だった。 なんとなく声をかけづらくて黙ってしまう。 雨宮さんは今、何を思ってるんだろう。 私のこと、どう思ってる? 認めたくないと思いながら、とっくにどこかで気付いてる。 私は、雨宮さんが、好きだ。 雨宮さんは? こんな風にご飯に誘ってくれるけど、期待して良いの? 雨宮さんの「気になる人」は・・・だれ?
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