第1章 出会い

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雨宮さんの授業は、練習なんか必要無さそうなぐらい、分かりやすかった。 教科は私の嫌いな数学だったけれど、雨宮さんの授業なら聞いても良いと思った。 これなら、実習と言わず、今すぐにでもうちの先生と変わって欲しいぐらいだ。 来週の授業が楽しみだ、と伝えると、雨宮さんは残念そうにいった。 「残念ながら、教育実習はここじゃなく、僕の母校でやるんだよね。 バスケ部のコーチも来週からは先輩が戻ってくるから、今週まで。 つまり、僕がここに来るのは今日で最後。 ・・・おっと、下校のチャイムも鳴ったね。 練習、付き合ってくれてありがとう。 僕は体育館寄ってから帰るよ。君も気をつけてね」 そういって彼は、あっさりと帰って行った。 後に残された私も、下校の鐘に追い立てられるように荷物を詰めて帰った。 またどこかで雨宮さんに会えることを期待しながら。
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