88人が本棚に入れています
本棚に追加
雨宮さんの授業は、練習なんか必要無さそうなぐらい、分かりやすかった。
教科は私の嫌いな数学だったけれど、雨宮さんの授業なら聞いても良いと思った。
これなら、実習と言わず、今すぐにでもうちの先生と変わって欲しいぐらいだ。
来週の授業が楽しみだ、と伝えると、雨宮さんは残念そうにいった。
「残念ながら、教育実習はここじゃなく、僕の母校でやるんだよね。
バスケ部のコーチも来週からは先輩が戻ってくるから、今週まで。
つまり、僕がここに来るのは今日で最後。
・・・おっと、下校のチャイムも鳴ったね。
練習、付き合ってくれてありがとう。
僕は体育館寄ってから帰るよ。君も気をつけてね」
そういって彼は、あっさりと帰って行った。
後に残された私も、下校の鐘に追い立てられるように荷物を詰めて帰った。
またどこかで雨宮さんに会えることを期待しながら。
最初のコメントを投稿しよう!