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するとそこに、廊下を走る軽い足音が響く。
それが近づいてきたかと思うと、あかりたちのいる部屋の障子が勢いよく開け放たれる。
驚いて入口を見ると、そこには1人の男の子。
小学校低学年くらいで、くりくりの大きな瞳で、一目で分かるほど、翔に似ている。
誰だろう、と思うまでもなく、奴の身内で、弟だろうと予想というか、確信ができる。
「兄ちゃんが女を連れてきたって?!」
少年の第一声はほんのりブラコン風味だ。
「樹(いつき)っ」
無遠慮な少年の態度に姐さんが少年の名を呼んでたしなめる。
だが、生意気を体現しているようなその樹少年はじーと、あかりを見るままだ。
「坊、いけませんって、戻りますよ。姐さん、すんません!」
30代前半くらいの男が慌てて樹を部屋から連れていこうとする。
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