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「美香」
「…あかり…」
「言いたいことあるなら、言ってやれ。ハラが立つなら殴れ。ガマンしないで。そして、忘れて、前に進もう」
「………」
美香は和樹の前にしゃがみ、ペチンと、力なく和樹を叩く。
「…ありがと、あかり。もう、大丈夫」
「…そう…」
笑う美香に、あかりも笑む。
美香は翔に軽く頭をさげ、一緒にいた友人たちとその場を離れて行った。
1人残ったあかりは座り込んで呆然とする和樹に、
「二度と、あの子に近付かないで」
そう言い置き、視線を上げ、改めて翔を見る。
「間違ってあなたを蹴って本当にごめんなさい。私を殴ってくれて、いいですよ」
「…いや、状況はよく分かんねーが、察するにこいつの女グセの悪さが原因っぽいし。殴るなら元凶にする。
ただ、そうだな……」
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