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「っっとに、ふざけんなっ!」
ダンッと派手な音を響かせて、空になったビールジョッキをテーブルに置いた。
「おいおい…
お前、いい加減飲み過ぎだ」
呆れ顔の須藤が、私の手からビールジョッキを奪い、代わりにお冷を握らせる。
「やだっ! まだ飲むの!」
それを須藤の方へと押しやり、すかさず店員さんを呼ぶ為にコールボタンを連打する。
「あ~あ、今日も終電逃すのかよ…」
ガクッと肩を落とした須藤に、私は猛然とまくし立てた。
「だってムカつくんだもん!
矢島和樹がっ!」
「はいはい。
もう百回は聞いたぞ。ソレ…」
須藤はげんなりとした様子だけど、私はまだまだ言い足りなかった。
今日、倉庫で矢島和樹との腹立たしいやり取りを愚痴る為、昨日も飲みに来たこの居酒屋に、無理やり須藤を呼び出したんだから。
「ちゃんと聞けーー!須藤ー!」
「分かった。分かったから。
桜庭の気の済むまで、付き合ってやるよ…」
なんのかんの言っても、結局、最後まで私の相手をしてくれる須藤は、本当にいい奴だ。
矢島和樹とは、大違い…
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