きっかけ ③

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久しぶりに目覚めのいい朝を迎えた。 昨日、あの矢島和樹に一矢報いるコトが出来て、上機嫌で家に帰り着いた私を待っていたのは、圭ちゃんからの嬉しい電話。 『明日、どっか行こうか。』 ああ、綻ぶ顔が止まらない。 土曜日はほとんど仕事で、日曜日も接待の予定がぎっしりと詰まっているはずの圭ちゃんが、今日は奇跡的に休めるらしい… そんないつ取れるとも知れない貴重な休みを、私とのデート時間に割いてくれるだなんてっ! 感激と、少しばかりの申し訳なさと、やっぱり会いたい気持ちとのごちゃごちゃした頭を整理しながら、鏡の前でファッションショー。 『どこに行きたいか決めておいて』 その圭ちゃんの言葉通りに、前々から観たいと思っていた映画をデートプランのメインに入れた。 待ち合わせは、迎えに行くと言ってくれた圭ちゃんを断わり、映画館の前で落ち合うコトにした。 その方がよりデート気分を味わえると思ったし、少しでも長く圭ちゃんにゆっくりして貰いたかった…というのが本音。 「よし、完璧だ。」 七分丈の濃いグリーンのパンツに、淡いイエローのシフォンブラウス。 春カラーをふんだんに取り入れた自分の姿に、気分も高揚する。 ベッドに投げ出された雑誌の表紙を飾るモデルと、瓜二つのコーディネートなのは黙っておこう。
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