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朝、いつものように重い足取りで会議室に向かう私を呼び止めた部長。
「すまん。
突然で悪いが、矢島主任には役員会議に出て貰うコトになった。」
どうやら、今日が会議という事を忘れて外出の予定を入れてしまっていたらしい…
絶対に外せない予定らしく、急遽、代役で矢島和樹に会議を頼んだとの事。
うっかりな部長のおかげで、久しぶりに自由を満喫出来るコトにほくそ笑む。
慌ただしく去って行く後ろ姿に激励の声をかけ、意気揚々と会議室のドアを開けた。
「な、何よ。コレは…」
入ってビックリ。
机一面に並べられた白い紙。
よく見ると、それは…
『スケジュール表』
との題名がマジックでデカデカと書かれ、今日、私がやらなければならない仕事がその下に、ズラ~っと事細かに書かれてあった。
「矢島和樹め。
ふざけんなっ! いちいち指示を出される覚えはなっ…」
『尚、ここに書いてある仕事を放棄すれば、自動的に残業です。
それが嫌なら、サボらず真面目に頑張るように。』
最後に、小さい文字でそう書いてあるのを見つけ、破り捨てるコトを思いとどまった。
残業なんて、冗談じゃない。
見てろ、矢島和樹。
全て完璧にやってのけ、私の実力ってものを解らせてやるんだからっ!
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