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俺はそんな快人さんを兄貴みたいに思ってる。
快人さんが俺を出来の悪い弟みたいに思ってくれてたら嬉しい。
「楽しみなんだろ?優花ちゃんだっけ?今度ここに連れてこいよ。見てみたいな、お前の優花ちゃん。」
ふふん、ってちょっと意地悪な笑み。
「残念ながら、まだ俺のじゃないです。快人さん、知っててわざと言うんだもんな」
そんな快人さんと俺のやりとりを聞いて、麻衣さんが笑う。
「ごめんね、快人は弘樹くんが大好きだから、ついからかっちゃうのよね」
「なんだよ、麻衣、俺の味方じゃないの?」
「だって、弘樹くん、快人の弟みたいで可愛いんだもん」
「弟…弟ね。まっ、そんなもんだな。でも俺の弟にしては出来悪いぞ、こいつ。俺が高校の時なんて、女は引く手あまたで…」
「快人、その辺りのお話、今夜ゆっくり聞かせてもらってもいいかなぁ?」
普段聖母のような笑みが絶えない麻衣さんの別人の顔がそこにある。
「…あ、いや、そんな、何も…なかった…から…」
俺には偉そうなくせに、麻衣さんにはてんで弱い快人さん。
「着替えてきまーす」
俺はわらいながら、更衣室へ入った。
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