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お店のドアを開けると、そこには優ねぇが待っててくれてる。
今日も可愛い。
「いらっしゃいませ」
笑顔の優ねぇ。
やっぱり、可愛い。
「こんにちは」
「今日はカラーとカットだよね。どうしたいかな?本見る?それとも何かこれ!って言うの持ってきた?」
「うん、これ 」
ポケットから切り抜きを出して、優ねぇに渡す。
優ねぇが真剣にその切り抜きを見ている。
かっこいい。
女性にかっこいいって、変かな?
でも、プロの目で見ているその姿はやっぱりかっこいい、惚れ直す。
「カットとカラー、両方こんな感じでいい?」
「カットがこれで、カラーは暗くしたいんだ。一応受験生だから。でも、真っ黒はやだ」
「了解。お荷物預からせていただきますね」
そうして俺の荷物をしまうと、
「軽くシャンプー入るので、こちらにどうぞ」
シャンプー台へと通される。
仰向けになるように椅子が倒れて、顔にガーゼがかけられる。
シャワーの音。
優ねぇが俺の髪を濡らして、シャンプーを始める。
ガーゼがかけられてるから、ぼんやりとだけど、優ねぇの胸が俺の目の前…
このガーゼ、邪魔だ!
いつも思う。
優ねぇの手が俺の髪を洗う…
これを幸せと言わず何が幸せなのか…
この時が続けばいいのに、と思う俺をよそに、あっという間にシャンプーは終わってしまった。
今度は鏡の前に通される。
優ねぇがもう一度切り抜きを見て、俺の髪を見る。
「弘樹くんが持ってきてくれた切り抜きのスタイルだと、トップの長さがたらないんだよね。他は大丈夫だけど。ほんの少し違う感じに今回はなるけどいいかな?次回来店頃にはトップも伸びていけると思う」
そっか、そういうものなのか。
「それは変にはならないの?」
「変にはしないよ。大丈夫」
即答で返ってきた。
「任せた」
「任された。で、カラーはこの色でいい?どうしても時間たつと明るくなるから、受験のためって言うなら最初は暗く感じる位がいいと思う」
「それも任せた」
「じゃあ、決まり」
優ねぇが、俺の髪を切り始める。
俺はどうやって、話を切り出そうか、考え始めた。
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