その1

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ん? ということは、ただ腰打ち付けただけで… 多分寝てたのは、射たさのあまり? 「な、なんやーうち、てっきり身体売ってもうた思たわ」 「本当にその身体買おうか?」 「……いややわ、冗談きついわー」 笑えねぇ… 確実に今、表情がひきつってるよ。 「ふっ さて、俺は帰るかな」 「ほ、ほな下までお見送りいたします」 「いや、いいよ。 腰お大事にな」 襖を明けながらそれだけ言うと、顔をこちらに向けず手をヒラヒラと振り部屋を出ていった。 「……あ、名前聞いてない」 文久3年 日差しが暑く照る夏の日 本人も気づかない間に、春が来た。
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