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広い駐車場に車を止めて
車から降りると
先に見えるのは
最近出来たばかりのショッピングモール
一度来てみたいって思ってたから
桐谷さんからの提案が凄く嬉しかった
『君の仕事の刺激になればいいと思ってさ』
そんな風に気を使ってくれる然り気無い優しさとか
キュン…ってなってしまう
けど
これも仕事柄
自然に身に付いたものなんだろうな…
なんて
また余計な事考えたりしてしまったり
でも
『…麻紀ちゃん?
ほら…行くよ?』
一歩前を歩いていた彼が
クルリと振り返って
少し上から私を見つめる茶色の瞳
差し出されたのは
華奢だけど
節がゴツゴツしている大きな手
『…恋人なんだから…ね?』
なんでかな
この人はいつでも
私の一番欲しい言葉をくれるの
差し出された手に
そっと指を絡めると
桐谷さんの指に
キュッ…と力が入った
『君は僕のもの
僕は
…君だけのもの』
ふっ…と笑った顔は
今まで見てきた桐谷さんの笑顔で
一番優しい顔だった
彼を大事に想えば想う程
不安になる
お願い…
ずっと…そばにいて?
私の側から
居なくならないで…
突然いなくなってしまった
亡くなった両親のように
大事な人程不安が襲う
今の両親に言えずにいる
私のトラウマ…
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