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広いショッピングモールは
どこを歩いても楽しくて
色々なタイプの服が
たくさんディスプレイされてるのを見てると
嬉しくて身震いしちゃう
『桐谷さん…っ
あのアレンジ、可愛くないですか?』
『うん…
でも…少し差し色が目立ちすぎかなぁ…
君ならもう少し上手くアレンジ出来るでしょ?』
『…そんな…っ
桐谷さん…
あんまりハードル上げないで下さい…』
『大丈夫だよ、君なら
さあ…あのデザインに
どんなアレンジしようか?』
クスクスと楽しそうに肩を揺らす桐谷さんは
まるで私を試してるようで
なんとなく
デザイナーのプライド…みたいなのが涌き出てくる
『…そう…ですね…
私なら…
襟元のストールは
パステルカラーの寒色に
パンプスはヒールをもう少し低めにしてオープントゥにします』
『…うん、そうだね
首元に原色の寒色は僕もパス
確かにパンプスはヒール高すぎるかな…
さすが麻紀ちゃん
僕が思った通りにアレンジしてくるね』
満足そうに笑う彼に
やり遂げた感でいっぱい
桐谷さんに誉めて貰えるのが
何より嬉しい
『…じゃあ…
桐谷さんはこのデザインにどんなヘアメイクします?』
『そうだなぁ…
僕ならショートカットに
緩めのパーマをあてて
カラーは思いきり明るくするかな
リップはパールの入ったピンク系のベージュ』
頭の中で想像しながら
桐谷さんの言葉を思い描く
『…どう?』
自信がある…
そんな顔で私を見る桐谷さん
…確かに凄く可愛いかも
『…桐谷さんて…』
『…ん?』
『…女の子を綺麗に描く天才ですね…』
“なにそれ”
そう言って桐谷さんは笑うけど
だって
ほんとだもん
彼の才能は天性のもの
一緒に仕事をしてみて
それがよくわかった
私…
大丈夫かな
彼の足手まといに…
ならないかな…
もっと…
もっともっと勉強しなくちゃ…
桐谷さんに付いていけなくなっちゃう
頑張らないと
彼が…
離れてしまうかも…しれない
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