始まりは二度目から

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…今、何時…? あの後すぐに桐谷さんが送ってくれて 濡れた身体を冷やさないように…って 念を押された パパもママもいなかったから とりあえずバスダブにお湯を張って 湯船に漬かって 身体が温まると 今度は予防にって飲んだ風邪薬が効いたのか 眠気が襲ってきて ベットに横になった…までは覚えてるけど 気がついたら夜になっていた…みたいな 『…せっかくのデートだったのにな…』 こんな終わり方になるなんて 桐谷さんに…謝らなきゃ… ベットの中から思い切り腕を伸ばして テーブルに置いてある携帯を引寄せた …あ…れ 着信メール…2件? 『あ…華…』 《今日のデートはどうだった? もしかしてまだ帰ってないとか? …なーんてね》 ……… 帰ってないどころか 早々に帰宅してますが? 華にもっと楽しい報告ができると思ったのに まさか桐谷さんのお客さんと揉めました…なんて 華なんて言うかな… 《明日、話するね》 メールの返信を簡潔に済ませて もう一件のメールを開くと 【桐谷奨太】 …桐谷さんだ 《奨太です ゆっくり身体を暖めたかな? 今日はせっかく二人で出掛けたのに 嫌な思いさせてごめんね 今度、埋め合わせに食事ご馳走させて? じゃあ、次の打ち合わせ、待ってるから 好きだよ、麻紀ちゃん》 好きだよ…か 嬉しいな… こんな風にはっきり言葉にしてくれるなんて それに… 桐谷さんが悪いんじゃないのに 元はと言えば あの状況をうまく回避できなかった私が悪いのに 私を責めたりしない 寧ろ謝ってくれて… なんだか申し訳ない こんな素敵な人… 他にいないよ 私にはもったいないくらい… 次の打ち合わせは 確か…来週末 落ち込んでる暇なんてないんだから しっかりしなきゃ…っ 《麻紀です。 今日はせっかく誘って下さったのに すみませんでした。 次の打ち合わせで 桐谷さんの仕上げたヘアメイク見せてもらえるのを楽しみにしています。 また二人でお出掛けさせてもらえるなら 嬉しいです》 …これで…いいかな… 携帯を握り締めた手を 胸に押し当てて深呼吸 大きく息を吐いたら 頭がクリアになった うん…私、やっぱり 桐谷さんが好きだ 《14━》
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