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『…で…?
あのメールの内容だと
ただ楽しかった…って訳でもなさそうだね?』
例によって
オフィスの給湯室に連れ出されて
珈琲を淹れながら
私の顔を覗き込む華に
一通り大まかな説明をした
二人でデザイン考えて楽しかった事
パスタを食べて美味しかった事
ものの数秒で素敵なヘアスタイルにしてくれた桐谷さんの事…
そこまで話して
一度言葉が詰まってしまう
『…それ
ただのノロケですか?』
華はニヤニヤと笑いながら
珈琲を口にして
ふぅ…と息をつくと
『…それだけじゃないんでしょ?』
と
心配そうな顔で
私のカップを差し出す
『…そう…だけど…』
暫く珈琲から立ち上る湯気を眺めて
室内に漂う香ばしい香りに
思い出すと胸の奥がキュッ…ってなるあの出来事を
華に話した
『…なにそれ
なんなの!?その客!!
こんな…ってあんた何様よ!?』
華は唇を噛み締め
悔しそうに顔を歪めて
『…桐谷さんの大事な
【常連様】…だよ…
いつもお店にいる人』
その言葉を聞いて
華が思い出したように顔を上げた
『あ…それって
茶髪のロングストレートで
桐谷さんの事
“奨太~”っていつも呼んでるあの人!?
この間私が相川さんと打ち合わせがあった時もいた!!』
『…ん…多分その人』
…そんなにしょっちゅういるんだ
ほんとに桐谷さんが好きなんだな…
そりゃあ…私なんて邪魔…だよね
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