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泉さんの横から
顔を出して来たのは
…あ
確か…しょうちゃんの実家にいた女性
『姉さん…』
え…っ…姉さん?
…しょうちゃんの?
『ふふっ…
覚えてないのも仕方ないよね?
私、あの頃留学してたし
実家には滅多にいなかったし』
ああ…そうだったんだ
私の記憶には
しょうちゃんにお姉さんがいた…って記憶は全く残っていなかったから
『…最も…
麻紀ちゃんは
奨太にベッタリだったしね
麻紀ちゃんが産まれたばかりの時
奨太と二人で見に行って
私が抱いたら泣いちゃって
奨太が抱いたら泣き止んで…』
『…姉さん、少し傷付いて泣いてたよね』
『…余計な事は言わなくていいから』
『はいはい』
『…でね
その時…麻紀ちゃん
奨太の手を握って
嬉しそうに笑って…
ずーっと離さなかったんだから
…それが…この手』
しょうちゃんと繋がれた手を両手で包み込んで
『…この手は生まれた時から繋がれてた手なんだから
一生…離しちゃダメだからね』
『…言われなくてもそのつもりだよ』
『…奨太!!
幸せになるんだぞ!!』
『ありがとうございます
泉さん』
『全く…
奨太は泉さんだけには素直なんだから…っ』
泉さんは
子供のように屈託なく笑うしょうちゃんの頭を
グリグリと撫でて
『麻紀さん
奨太を…頼む』
大きな身体で
深々と頭を下げた
『…じゃあ俺は
月島と白鳥さんに挨拶してくるよ』
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