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純さんのために。 純さんの役に立ちたい。 そんな大義名分掲げて、実際私のしていたことは全部自分のため。 自分だけ楽になりたくて。 純さんがどう感じているかなんて気にもせず、ただただ彼に、押し付けてきたんだ。 成長のない私。 彼と寄り添っていくには、生半可な覚悟じゃ駄目だと気付きながらも結局私は覚悟以前にただ気持ちを押し付けてきただけ。 でも、じゃあどうすればよかったのか、それが私には分からない。 「なに?」 着々と調理をしながら、声だけで返事をする純さんに、何を言いたくて声をかけたのか分からなくなって。 ぐちゃぐちゃ入り混じる感情の中に、ただ、一つ溢れてきた想いが言葉になり声を通してストンと落ちた。 「好き。」 すごく、好き。 大好き。 それなのに、純さんを笑顔にしてあげられない。 その方法が分からない。 傷付いた純さんに何を言っていいのかすら分からない。 好きなのに。 こんなに好きなのに。 どうして、私は純さんを傷つけることしか出来ないんだろう。 純さんは調理していた手を止め、驚いたような顔をして私を見た。 絡まった視線。 ただ真っ直ぐ彼の瞳を見た。 クシャっとグレイの瞳が細まる。 「俺もだよ。」 ゆっくり返された言葉にじわり、久しぶりに涙腺が緩むのを感じた。
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