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ーーーーなぁんか、今の夏目の顔よりさっき見たネコの顔のほうが傷付いた顔してた気がする。
ロニーのイスを届けに行った日の岡田さんの言葉が蘇る。
同じように今日もまた、岡田さんから見たら、やつれたと言われた私の顔より純さんの表情のほうが辛そうだったかもしれないのに。
そこに思考が辿り着いた途端、私の瞳から、この一ヶ月溜まりに溜まっていた涙が堰を切ったように溢れ出した。
「……ご、めんっ……なさい。」
接し方が分からない。
向き合い方が分からない。
どうすればよかったのか、どうしていけばいいのかが分からない。
私のこの手は、私のこの声は。
何をすれば、どんな言葉を紡げば純さんを傷付けない?
傷付いている彼を守りたくて。
彼を守る、強さが欲しくて。
だけど、それが分からない。
強さって、何?
どうすれば強くなれるのか、そもそもどうなることが強いっていうのか。
よく見るテレビドラマなんかでは、病を患っている人を支える人は気丈で。
症状が悪化しても、辛い事実を突きつけられても、本人の前では取り乱さず凛としていて。
刷り込まれた価値観の中で、それが強さだと漠然と思っていたけれど。
本当に、そうなのかな。
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