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翌朝早めに起きてシャワーを浴び寝室に戻ると、純さんは既に起きていて、ベッドの上でベッドヘッドに背中を預けた状態で座って外を眺めていた。
「昨日は、ごめん。」
そっと彼の横に行き、もたれかかって体重を預けると、外から視線を外さないまま、ボソッと純さんは呟いた。
私は彼の肩付近に預けていた頭を左右にフルフルと振る。
「私こそ、ごめんなさい。純さんの気持ち考えずに押し付けがましいことして。……純さんが私に怒るの、当然です。」
外に向いていた純さんの視線が私に移る。
その表情は驚いているようで、戸惑った。
「怒る?千尋に?」
「え?……はい、昨日。」
私の無神経さに怒っていたんですよね?
純さんの反応があまりに自分の予想とかけ離れていたため、眉間にシワがよる。
「あーー、そうか。」
純さんは両手で頭を抱えてそう小さく叫び項垂れた。
え?なに?
わけが分からず目をパチクリさせていると、彼が顔をあげて、フワッと目を細めて笑った。
「違う。怒っていたのは自分自身に対して。でも……、そうだよな。そう思うよな。でも千尋に八つ当たり、したようなもんだから、やっぱり千尋に怒ったことになるのか?」
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