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突然大声を出した私に決して広くない事務所内にいる数少ないメンバー全てからの視線が集中する。 その中にいた、岡田さん。 おーー、気付いた?と言いながら可笑しそうに笑ってそばに来たと思ったら、手に持っていたファイルで頭を軽く叩かれた。 「あれ?もしかして岡田さんが千尋に仕事ふった?」 「ああ。夏目、気付くかな、と思ったけど全く気付かなくてさ。結局そのまま最後まで。残業させて悪かったな。」 状況を察した美香さんの問いに岡田さんは苦笑しながら謝罪の言葉を口にする。 「ええ??そんな……。まぁ、いいですけど。」 今思えば、あの内容は受けた覚えがないから、私の仕事じゃなかった。昨日はそんなことも気付かなかったのか。 どれだけボーっとしていたんだか、とうまく使われたことよりも、気付きもしなかったことに意識が向く。 「お前、昼持ってきた?昨日夜し損ねたお詫び。昼、外に食いにいくぞ。」 そう言って私の返事を聞くこともなく、岡田さんは事務所から出て行った。 「お、詫び?」 岡田さんの去り行く姿に、ポツリ口から零れる。 「騙して私の仕事をさせたお詫びじゃない?そういうとこ、意外にあの人律儀だよね。」 美香さんの言葉に、「お詫び、……か。」ともう一度呟いてからようやく仕事に取り掛かった。
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