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「なぜ、あえてこれ?」 昼休み。 岡田さんに連れてこられたのは、ラーメン屋。 「いいじゃない。ラーメン好き。」 しっかりお詫びご飯に合流している美香さんは、メニュー片手にニコニコ顔。 表通りから離れたここは、造りこそ小綺麗で「商い中」の札は掲げてあるものの、店の看板すら出ていなくて一見何の店か入るのを躊躇う。 「ラーメンは好きだけど……。」 確実にまだ胃は塩分多めのラーメンの気分ではなかった。 麺は麺でもうどんが好ましい。 とはいえ、店内に立ち込める魚介ベースのだしの匂いに、ラーメンが目の前にくる頃には食べるのが楽しみになっていた。 「千尋、食べれたね。」 頼んだのはオーソドックスな醤油ラーメン。 食べ始めると箸が進み、思いのほかあっさりしたスープに加え、選べる麺の量を少なめにしたせいか全て食べ切れた。 「はぁ、意外に食べれ、ました。くどくなかった。」 美香さんが私に向けた目が嬉しそうで、彼女がおにぎりばかり食べている私を心配してくれていたことを思い出す。 「うん。よかった。あ。私、お金おろしてくから先戻ってて。」 人が並び始めたラーメン屋をそくささと退散し事務所に戻る道中、美香さんはコンビニに寄った。 「岡田さん。」 先に戻るよう言われて、特に用事もないのでそのまま事務所に向かう道すがら、並んで歩いている岡田さんに声をかけた。 「ん?」 「昨日、どういう意味でしたか?」
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