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朝の通勤時間帯の交差点。
走りゆく車と車の間に垣間見える一人の人物に、意識が集中した。
オフィス街でスーツ姿の男性ばかりがいる中で、黒の細身のパーカーと緩めのジーンズ姿は遠目から見ても目立つ。
青信号になり、横断歩道を渡りながらチラリと先程対向車線側で見た人物に目を向ける。
少しずつ縮まっていく距離。
近づくごとに速まる鼓動。
目が離せない。
すれ違う瞬間、俯いていたその人の頭が上がり不意に目が合った。
ゴクリ。
唾を飲み込む音を鼓膜で感じながら、瞬きもせずに見惚れた。
グレイの瞳。
男性に使う言葉ではないのかもしれないけれど、その人を形容するならこれしかない。
「……キレ……イ。」
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