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カタン、背後からの音と気配に振り返る。 「あ。純さん、お疲れさま。」 スーツ姿の純さんが、入り口あたりに佇んでいた。 「ああ、千尋か。もう着替えた?」 「はい。純さんも帰れます?」 彼に近付き手をとると、優しい顔を向けて手を絡めてくれる。 「さっき、バイトの子に、純さんと仲良しですねって言われましたよ。」 同じペースで並んで歩いて手を取り合って、向かう先は同じ家。 「へぇ。なんて返したの?」 「私と彼は唇だから、って。」 「…………は?」 顔をしかめる純さんに、笑みが零れる。 ずっとずっと。 純さんとだから。 何があっても、乗り越えていきたいと思うんだ。 この先困難にぶつかることも、もう全てリセットしたくなるくらいに嫌になることだってあるかもしれない。 乗り越えられない壁が立ちはだかるかもしれない。 だけど、あなたがいてくれたら。 私はきっと何度も、何度でも立ち向かっていけそうな気がする。 立ち向かって、乗り越えてみせるって、強い意思を持ち続けられる。 強くなりたくて。 でも意味が分からなくて、強くなんてなれなくて。 でもずっと持ち続けている、彼のそばにいたいっていうだけの意思を強いと純さんが言ってくれるから。

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