初体験

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「寒っ…」 容赦なく北風が吹き付けて、俺は コートの襟を立てた。 ポケットには さっき外したネクタイ。 悟史くんの寝顔を思い出して 少し恥ずかしくなった。 今まで ただのぼんやりした優しい人だと思っていた。 不思議な気持ちだった。 あんな風に知らない男と熱烈なキスをしていたり、耳元で囁いたり、甘えるような仕草を見せるなんて。 暫く 忘れていた感情が蘇ってくるようだった。 悟史くんのことをもっと知りたい。 これを 恋と呼んでいいのか解らなかったけれど。 また あんな風に囁いて欲しいと思っていた。 そして。
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