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立春が過ぎてから 冬の寒さは 本格的になる。
俺、眞田肖は コートのポケットに手を突っ込んで 携帯が震えているのに気がついた。
『もしもし?肖ちゃん?』
高校時代の後輩。稲葉正紀。
人懐こい性格の可愛い奴で たまに一緒にご飯を食べたりしている。
「ああ、正紀?」
『うん、さみーねー。鍋でも食いに行かない?』
鍋、と聞いただけで 心がほっこりする。
「おー いいねえ、行くか」
夜 7時。
今日は 早めに仕事が終わった。
タイミング的には ばっちりだ。
『じゃあ どっか店決めてくれる?』
「了解。後でメール入れる」
正紀との電話を切り、人の流れの邪魔にならないように端によって 店を検索した。
…ここは こないだ行ったしなあ。イタリアン鍋か。気分的には 韓国風か和風だよな。
一人で色々考えていると すぐ横の細道で人の気配がした。
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