悟史くんの秘密

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ん?なんだ、カップルか。 見るとはなく チラリと目をやる。 カップルが熱烈なキスをしていた。 …わ、始まっちゃったよ。 慌てて 目を反らし、その場を離れた。 最近のカップルは 見境無しだよなー 羨ましい気持ち半分でため息をつく。 ここ数年 デートすらしていない。 メシと言えば 同僚の野郎か 正紀。 たまには デートしてえ! はあ、ともう一度ため息をつくと さっきの細道から デカイ男が出て来た。 「わ、すいません」 ぶつかりそうになり また端に避けた。 あれ?男だけ? なんだか 不思議に思い 道を覗き込む。 「肖くん」 「え?」 同僚であり、同期の尾道悟史。 「悟史くん?」 普段 割に 気さくな悟史くんは みんなを下の名前で呼ぶ。 俺も例に漏れず お互いを名前で呼びあっていた。 「あのさ、いま そこにカップルが」 「見てたろ」 …え…? 「俺、チュウシテタ」 チュウシテタ? オトコと? 「そ、そうなんだ、じゃあ」 何故か 恥ずかしくて堪らなくなり、慌ててその場から去った。
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