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この国が嫌いだ、こんなことを言えば今もなお今日を生きるのに必死な人たちに失礼なことなのかもしれない。小学生の時、先生が「今この瞬間にも死んでいってる人たちが世界中にいる。」そんなことを言われても遊ぶことしかなかったあの頃に言われても分かるはずもないし、高校3年生になった今だってよくはわからない。恐ろしく治安の良いこの国では生きることが容易であるからだ、もちろん治せない病気なんかはある。
大半の高校生は生きるために働かなくても良いだから、今を楽しく遊んだり、将来のために何かに打ち込む人もいる。だから日本ではただなんとなく生きている人が少なくないのではないのだろうか…
適当に生きていた…将来これといったやりたいこともない、毎朝起きて、顔を洗って、朝食を摂る、歯磨きして、着替えて、学校に行く。つまらない授業を受けて、友達とだべって、帰宅、テレビをみて、PCをして、眠くなったら寝る。そんな風になってから1ヶ月が過ぎようとしていた、なにも考えないように生きていた、考えたら分からなくなってしまうからだ、なぜ自分がここにいるのか、何の為にいきているのか。
季節は春を越えた6月の最初
一人の高校生が学校へ行くための道を歩いていた。
「今日も遅刻か、これで3日連続だな。」
遅刻といってもどんなに遅くても2時間目にはだいたい間に合うから不良というわけではない、今日も1時間目が終わらないうちに学校に着くな、そんなことを考えていると。
「う~ん…こっちが今来た道だから、あっちかなそれとも~…」
家を出てから5分程の十字路で明らかに困っている女の子がいる。
「早くしないと遅刻だよ~どうしよう」
残念ながら既に遅刻だぞと思いながら知らん振りする。あいにく知らない人を親切心だけで助けるために声をかける程お人よしでなければ、声を掛ける勇気もない。
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