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その内夜が明けて、中納言邸の人々が忙しく朝の支度をする気配が聞こえて参りました。
右近の少将も、落窪姫のお部屋を出るに出られなくなり、折角だから姫とゆっくり過ごそうと、そのまま夜具に身を横たえております。
右近の少将には気がかりなことがございました。
それは、落窪姫の腹違いの妹である四の君と、右近の少将の間に持ち上がった、縁談でございます。
本当なら、右近の少将はすぐにでも落窪姫との夫婦の名乗りを上げて、姫を自分の元に迎えたいのです。
ですが、実際自分で目にした北の方の意地悪い人柄や、尻に敷かれた父親の源中納言に正式に妻問いしても、それが易々と許されるわけがありません。
むしろ、もう一人の姫と自分を結婚させたがっているくらいですから、この事が知れたら、姫がどんなにつらい目にあわされるか、と。右近の少将は頭を悩ませます。
けれど、四の君との縁談の話が、他の口から姫の耳に伝わるよりは、自分できちんとことわけした方が良いだろうと、右近の少将は姫の手を握りました。
「実はね、私の父の侍女と、こちらの四の君の乳母が知り合いで。
どういうわけか、そこから私と四の君の縁談話が持ち上がってしまっているんです。
こちらの源中納言殿や北の方も乗り気だということで、最近乳母にやかましく言われて困っているんですよ」
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