第一章

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それと同時に、そのような仕打ちを受ける姫を哀れに思う気持ちも湧いてきます。 まして、それが愛する阿漕の大切な人となれば、なおさらでございます。 「それは可哀想な姫君だね。 その姫のお血筋はどのようなものなの?」 「姫様のお母上は、宮家の姫君よ」 「へえ、それはきちんとしたご身分のお方なんだね。 それで、その姫様はお美しい方なのかい?」 惟成のその質問に、阿漕は泣き真似をするのも忘れて顔をがばりとあげました。 「そりゃあ、もう。お美しいなんてものじゃないわ。 色白で品の良い額をされていて、目は黒目が綺麗にうるんでいるの。鼻も口も小ぶりの良い形をされていて、頬はまあるく色づいていらっしゃるのよ? それに、御髪といったら。身の丈より、五尺は長いんじゃないかしら。 しっとりと艶のある、豊かな髪をお持ちなのよ?」 落窪姫の髪の長さを表すのに、阿漕は両手を目いっぱい広げて惟成に詰め寄ります。
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