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それと同時に、そのような仕打ちを受ける姫を哀れに思う気持ちも湧いてきます。
まして、それが愛する阿漕の大切な人となれば、なおさらでございます。
「それは可哀想な姫君だね。
その姫のお血筋はどのようなものなの?」
「姫様のお母上は、宮家の姫君よ」
「へえ、それはきちんとしたご身分のお方なんだね。
それで、その姫様はお美しい方なのかい?」
惟成のその質問に、阿漕は泣き真似をするのも忘れて顔をがばりとあげました。
「そりゃあ、もう。お美しいなんてものじゃないわ。
色白で品の良い額をされていて、目は黒目が綺麗にうるんでいるの。鼻も口も小ぶりの良い形をされていて、頬はまあるく色づいていらっしゃるのよ?
それに、御髪といったら。身の丈より、五尺は長いんじゃないかしら。
しっとりと艶のある、豊かな髪をお持ちなのよ?」
落窪姫の髪の長さを表すのに、阿漕は両手を目いっぱい広げて惟成に詰め寄ります。
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