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(なんだい、この公達は。
うちの自慢の婿君、蔵人の少将よりずっと立派な男じゃないか。
落窪に通う男など、雑色のような身分の低いどうでもいいようなやつだと思っていたけれど、衣装を見てもこれは相当良い家柄の公達に見えるね……)
さらに目を凝らして二人の様子を窺うと、愛しみ合っている様子が伝わってくるのです。
(男が女の手仕事を手伝うなんて、よっぽど愛情が深い証拠じゃないかっ。
嗚呼!このままじゃ、あの憎たらしい落窪が、幸せになっちまう!)
本当は怒りのままにお部屋に怒鳴り込みたい北の方ですが、相手の身分柄も分からないので、下唇を噛みながらぐっとこらえます。
夫の源中納言に相談しようかと一瞬思いますが、もし落窪姫の相手が良い家柄なら、源中納言も気を良くして、婿に迎えると言い出しかねません。
(うーん、どうしたもんかねえ……)
渡殿を戻りながら、北の方は考えをめぐらせ、唇が捲れ上がるくらいにやりと笑いました。
(そうさねえ。
ここはひとつ、阿漕の夫の惟成が、落窪に通っているということにして、一芝居打とうじゃないか。
もともと、姫の手紙を持っていたのは惟成なんだし、中納言は歳で耄碌してるから、簡単に信じるだろうよ)
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