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夜が明けて邸が騒がしくなる頃、落窪姫はすべての絹を立派な衣装に仕立て上げました。
もし縫い終えていなければ、たっぷり嫌味を言ってやろうと思っていた北の方は、当てが外れてしまいます。
けれど、源中納言に落窪姫のことを嘯いて、自分の計画を実行できると思うと、怒りもすっと静まるのです。
落窪姫の元には、早速右近の少将から文が届き、そこには姫への温かな愛情を示す言葉と、姫の部屋に横笛を忘れてきたので、使いの者に持たせるように、と書かれておりました。
『内裏でお吹きになる大切な笛をお忘れになるなんて、私のことも簡単に忘れてしまわれるのではないでしょうか』
姫の返事は、もうすっかり心を許した、妻の可愛らしい恨み言でございます。
文を受け取った少将も、
『あだなりと思ひけるかな笛竹の 千代もねたえむふしはあらじを』
※貴方にいい加減だと思われるのは心外です。永久に絶えることのない竹節の根のように、貴方と共に伏して寝ることが、絶えることなど決してありませんよ。
このように歌を一首、落窪姫に返しました。
こうして今日も、姫と少将は愛を確かめ合っております。
しかしそれと時を同じくして、北の方の小芝居が始まっておりました。
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