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落窪姫は、ただただ驚くばかりです。
きっと右近の少将との事が関係しているのだろうけど、それを父の源中納言がどのように聞いたのだろう、と。言葉も出てきません。
騒ぎに駆け付けた阿漕も落窪姫の前に出て、
「姫様が何をなさったというのでしょう。そのような誹りを受けるような覚えは、ございませんのに」
そう言ってすがるように北の方を見上げます。
「なんだい、差し出がましいことをお言いでないよ!
お前たちがそうやってとぼけても、中納言殿が外か聞いてこられてのだよ。
大体、こんな、ものの善悪も弁えないどうしようもない娘の方を大事にして、お前の本当の主人である三の君を蔑にするなんて。
お前がそんな風だから、この落窪も付け上がるんだよ。
忌々しいっ。お前もこのお邸から出てお行き!」
北の方は阿漕を膝で突き飛ばし、落窪姫の衣をむんずとつかんで、まるで罪人のように引っ立てようとするのです。
阿漕が必死に追いすがっても、北の方はどこからそんな力が出るのか、姫の部屋の道具や几帳も蹴散らして、落窪姫を前に立て、ずんずん歩いて行ってしまいました。
そんな風に乱暴に扱われ、何が何やら分からない落窪姫は、涙を浮かべ呆然とするばかりです。
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