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阿漕は三郎君の答えが嬉しくて、思わずその小さな手を握り締めました。
「では、その大好きなお姉ちゃまが、ご飯も食べられず物置に閉じ込められているとしたら、三郎君様はどう思われますか?」
阿漕の言葉に三郎君は、目をぱっちりと見開きます。
「もちろんお可哀想だと思うよ」
「三郎君様は、お優しいですわね。
落窪の君様は、何も悪いことはしていないのに、ちょっとした誤解で、お辛い目に遭っておられるのです。
ですから阿漕は、姫様にこの強飯だけでもお渡ししたいのですが、あの物置に少しでも近づくと、北の方様に見つかって、怒られてしまうのですわ」
紙に包んだ強飯を懐から取り出して見せると、三郎君はそれを手に取り、立ち上がって胸を張って見せます。
「分かった。僕がこれをお姉ちゃまにお渡ししてあげる」
「まあっ。本当でございますか?」
「うん。任せてよ、阿漕」
三郎君はにっこり笑うと、北の物置の方に駆けて行きました。
阿漕は人目に付かぬよう、物置近くのお部屋に身をひそめて、その様子を窺うことに致します。
すると、三郎君が大きな声を出し始めたのです。
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