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「あれ? 物置の戸に錠が差してある。
誰かここを開けて。僕、この部屋から取りたいものがあるんだ。
ねえ早く、誰かここの戸を開けておくれ」
騒ぎを聞きつけた北の方が、しかめっ面で参りました。
「何をそんなに騒いでいるのさ。ここは今、開けられないんだよ」
北の方の怒りを含んだ声も、子供の三郎君には通用しません。
「だって、この間買ってもらった沓(クツ)をこの中に隠したんだもの。
それをどうしても取りたいんだ。だからはやくここを開けてよ」
三郎君はついに、戸を叩いたり蹴ったりし始めます。
そこに源中納言も現れて、北の方に戸を開けるように言いました。
「今は駄目だと言ってるでしょう。今度開けたついでに沓は取ってあげるから、大人しくなさい!」
北の方が声を荒げても、三郎君は恐れることを知らずに、「じゃあこんな戸僕が壊しちゃうもの」と、板を叩き続けるのです。
もともと三郎君には甘い中納言が、そのわがままな姿すら可愛らしいと、自ら戸に差した錠を解いて、ついに扉は開かれました。
「まったく……。貴方は三郎君に甘すぎますよ」
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