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「とにかく、姫様を助け出す方法と、典薬の爺さんを退ける方法を考えないといけないんです。
でも、私一人ではどうしようもなくて……」
二人で向かい合って、深いため息を漏らしてから、夏月は「そうだわ」と言って、ポンと手を叩きました。
「明日、賀茂の祭りの行列があるんですけど、蔵人の少将様が舞人として立たれるので、三の君様の所では、それを見物に行くと忙しく準備をされてましたわ。
きっと北の方様の事ですから、お邸総出でお出かけになるに違いありません」
「まあっ!それは本当ですか?」
元々三の君に仕える阿漕ですが、北の方の怒りが解けてほとぼりが冷めるまで、大人しくしているよう三の君に諭されて、今はあちらでお勤めをしていない状態です。
ですから、賀茂の祭りの見物の事も、阿漕には知らされておりませんでした。
「その時が、絶好の機会ですわね。こうなったら、今宵一晩、典薬の爺さんを退ければ……。
どうしたものかしら」
独り言のようにつぶやく阿漕に、夏月は顔をぱっと明るくさせて、ふふふと笑ったのです。
「それなら私に、いい考えがありますわっ。あの典薬助殿には、私も迷惑していたのです。少し、懲らしめてあげましょう」
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