860人が本棚に入れています
本棚に追加
夜が深まった頃、典薬助は鍵を持って物置部屋に訪れました。
けれど、錠を解いて戸を開けようとしても、それがピクリとも動かないのです。
「おかしいのう。戸がちっとも動かんじゃないか。
これ、お姫さん。まさか婿であるわしを、締め出そうとしておいでなのか」
典薬助の声に、落窪姫は肩を震わせます。
どうか戸が開きませんようにと、神仏に手を合わせて落窪姫が祈っていると、典薬助は、自分の腹がゴロゴロなる音を聞きました。
(はて、なんじゃか腹の調子が……)
両手で温めるように擦っても、腹の中がどんどん動きを強め、キリキリとした痛みまで走ります。
近くの部屋に身をひそめて様子を窺っていた阿漕も、典薬助の変化に気付いて目を凝らしました。
(あらあら。そろそろお薬の効き目が出てきたようね……)
「おほっ、腹が……」
典薬助は、ぎゅうぎゅうと締め付けるような腹の動きに、立ったまま身をかがめて悶えております。
その内、ゴロゴロと鳴っていただけの腹から、ビチビチと音を立てて便が漏れ、尻に気持ちの悪い感触が広がりました。
「あいやっ、これはいかんっ!」
最初のコメントを投稿しよう!