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(あの小賢しい小娘めっ。私を出し抜くなんて、どうしてくれようかっ!!)
北の方は悔しくて悔しくて、奥歯を砕けるかと思う程噛みしめます。
「貴方っ!!
これはあの、阿漕と言う娘の仕業に違いありませんわっ。
あの子の荷物がそっくり無くなっておりますもの」
寝殿に戻ると、北の方は忌々しそうに吐き捨てて、今度は三の君をキッと睨みつけます。
「大体、私があの娘を追い出そうとした時に、お前が『阿漕は役に立つし気に入ってる』などと言って、手元に置こうとするからこうなるんだよ!」
突然降りかかった火の粉に、三の君は唖然と致します。
それでも尚、北の方は三の君に当たり散らすのです。
「大体あの娘は、いつも落窪、落窪と言ってお前に対して、大した思い入れも無かったというのに。
無理に自分に仕えさせようとするからっ」
器量が良く働き者の阿漕に目を付けたのは、自分自身だということも忘れて、北の方はがみがみと捲し立てます。
そんな中、源中納言が邸に残った留守居の一人を呼びつけて、何があったのかと問い質しました。
「そういえば、皆様がお出かけになった後、美しい下簾を掛けた女車が入ってきて、すぐに出て行きました」
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