第二章

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その内容に、少将は気持ちを惹かれます。 (宮家の血筋で、不遇の姫か……) やはり少将も、ひとかたの男でありましたので、その言葉には男心をくすぐられました。 一言に宮家と申しましても、その境遇は様々でございまして。 帝の覚えめでたく高位の職を得て、華々しく暮らす方もいれば、これといった職も財産も無い、貴いのは血筋のみという方もおりました。 そういった落ちぶれた宮家の姫君は、とかく都の公達の噂に上り、 『二条の外れに、零落した宮家の姫が住んでいて、たいそうお美しいらしい。 はかなくお暮しだろうから、ぜひ私が力になって差し上げたいものだ』 といった風に、その庇護欲をかきたてていたのです。 まして、今耳にしたその姫は、その存在を表に知られておらず、美しい気立ての良い姫だというのですから、少将はなおさら興味を惹かれるのでした。 (親に見捨てられているというのなら、堅苦しい婿扱いをされずに済むだろうし……)
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