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男らしい美しい文字で、そう詠まれておりました。
「まあ、なんて見事なお手蹟(文字の書きぶり)でしょう。
恋焦がれているなんて、すてきなお歌ですわねぇ」
阿漕はため息をついて落窪姫を窺いますが、姫の顔は曇りがちです。
お返事を書くように進めても、首を横に振るだけで、一向に筆を取ろうと致しません。
そうこうしているところに、北の方の怒鳴り声が聞こえてまいりました。
「阿漕っ! あーこーぎーっ!
まったくいったい何処で油を売ってるんだい?
まさかまた落窪のところにいるんじゃないだろうねえ!」
その声に姫は身を縮ませて、阿漕は飛び跳ねるように立ち上がりました。
「姫様、どうかよーくお考えくださいまし。
この阿漕が、決して悪いようには致しませぬ。
ですからきっと、お返事を書いてくださいましね?」
ひそひそ声でそう申しますと、阿漕は足早にお部屋を離れました。
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