第二章

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其の参 「惟成、あの姫君から、返事はいただいてきたのかい?」 数日後、右近の少将は惟成と顔を合わすなり、そう申しました。 少将はすっかり落窪姫に気を惹かれているようで、その様子はかなり熱心なものにございます。 「それが、まだ……。 あちらのお邸は、その姫様のご結婚などまだ考えていらっしゃらないようなので、なかなか話が進みそうにはないんですよ」 「そんな、縁談などと、かしこまった話じゃないだろう? まずは姫にお会いしてみないと、本気で愛せるかさえも分からないのに。 もしお会いして、心から愛しいと思える姫だったら、こちらのお邸に引き取ってお世話して差し上げてもいいと、私は思ってるんだよ?」 だから頃合いを見て、こっそりお前が手引きすればいいのさ、と。少将は片目をつぶって見せます。 (そんな軽はずみなことをしたら、阿漕になんと罵られることか……)
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