第二章

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「閉じ込められるような暮らしで人付き合いもないから、お返事の仕方が分からないんだろうか。 もしそうなら、お前の妻は、いったい何をしてるんだよ、惟成。 思いやりのある姫だと聞いていたけど、それなら一言でもいいから、返事をくれてもいいじゃないか」 少将の言葉に、惟成はなんとか納得してもらおうと、阿漕から聞いた北の方の意地の悪さを、しみじみと語ったのでございます。 「……と、いうわけで。 姫様はあちらの北の方様に苛め抜かれておいでなんです。 きっと普段から、勝手なことをすればただじゃおかないと、脅されてらっしゃるんですよ。 妻の阿漕も、今はあちらの三の君に無理やり仕えさせられているので、なかなか思うように事が運べないと申しておりました」 惟成の説明に、少将は怒りが憐れみへ。憐れみが愛しさに変わっていくのを感じました。 (なんという健気な姫だろう……) 少将は、ますます落窪姫に会いたくなります。
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