第二章

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(阿漕に知れたら、ただじゃ済まないだろうけど。 でも、若様の仰る通り、このままでは恋の始まりようもないってもんだ。 こんな風にすげなくされても、姫からお心の離れない若様なら、きっとなんとかなるだろう) 惟成はそう思い、中納言家の隙を窺い始めます。 落窪姫の部屋は、女房の局の連なるお邸の北の端の、それよりずっと端にございますので、丁度人目に付きません。 ですが、中納言家には婿どりした姫君が三人も居たので、人の出入りが大変激しく、なかなか思うようにいかないのです。 惟成は少将にせっつかれながらも、辛抱強く機会を窺っておりました。 その願いが天に通じたのか。 少将に、またとない機会が訪れるのでございます。
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